A「初期対応」時の相談事例

case A

どうもメンタルヘルス不調ではないかと思われる社員がいるのですが・・。
近頃、遅刻や欠勤が増えてきて、顔色も良くありません。
今まではそんなことは一度もなかった社員なのに・・。
それで、気になって「体調が悪いようだ、気になるから病院に行かないか?」と促してみたのですが「大丈夫です」と言われてしまいました。
その後も様子を見ていますが、どんどん体調が悪くなっているようで心配しています。
本当に、このまま静観していて良いのでしょうか?

ポイント①

以前から遅刻欠勤があった場合は、勤怠不良として考える必要がありますが「今までなかった」という場合は、うつ病のSOSである場合が考えられます。
また、「顔色も良くない」ということですので、何らかの健康障害を引き起こしている状態が考えられます。このような場合は、まずは声をかけて頂き、ご本人に今の様子や体調などを聞いてみましょう。

ポイント②

しかし、声かけを行ったとしても、このように「大丈夫です」と答えられてしまう場合が現実は多いようです。その際に一般的に弊社がお伝えしているのは、以下のとおりです。
・最初は「分かった。何かあったらすぐに相談して欲しい」と声をかけておきましょう。その際に、何月何日XがYに△△と声をかけ、Yは○○と答えた。というように記録に残しておきましょう。その上で様子を一週間ほどみておいてください。
・一週間ほどしても様子が気になる場合は、再度同じように声をかけ、その様子を記録に残しておきます。
・さらに一週間ほどしても様子が気になる場合は、同じように声をかけます。
その際にも「大丈夫です。」のままの返答であった場合は、改めて「ここしばらくは様子を見ていたが状況が改善しているように見えない。やはりここは心配なので病院への受診(もしくは産業医への面談)を考えてみて欲しい。」と伝えます。それでも返答に困っているようであれば、「企業側としての安全配慮義務もあるので・・」と伝えて下さい。

それと忘れてはいけないのが、個人の視点です。体調の悪い社員に対し、もう一人の家族と思って声をかけてみて頂きたいのです。その方がもしご主人や奥様や息子さん娘さんだったらどのように声をかけますか?ご両親だったら?ご兄弟姉妹だったら?
企業側のリスクや自らの役割に固執してしまうと肝心なことを忘れがちです。企業の安全配慮義務も最終的にはお伝えすることになりますが、まずは個人の視点を持ち接して頂ければと思います。

以上のようなステップを踏んで本人と話し合って頂きますが、あくまでもこれは一般的なものであり、場合によってはすぐに専門医へ受診(または産業医への面談)を促すことが必要になりますので、それらの判断は個別の対応となります。ご注意ください。
なお、その他にもお勧めしているのは、このような場合の対応策として、就業規則に病院受診を促す規定を設けることです。

企業様の声

●ラインケアの重要性は理解していたが、実際の対応になると難しくて頭を抱えていた。特に「いつもと違う部下」への声かけを行っても「大丈夫です」の答えに対して、それ以上のアプローチができずにいたが、具体的な示唆をしてもらったおかげで産業医への面談がスムーズに行き、専門医への受診までがとんとん拍子で進んだ。
お蔭で早期発見となり、その部下は投薬治療と1カ月の残業制限だけで体調が元に戻った。
●以前も同じような状態になった社員がおり、そのままにしていた結果、うつ病を発症し最終的には退職となってしまった。優秀な社員だっただけに、対応の遅さが今も悔やまれる。今は早目早目に声をかけているせいか、その後うつ病となった社員はいない。
むしろ上司が気軽に声をかける風土ができあがり、メンタルヘルス対策というよりも良い組織風土が醸成されたと喜んでいる。