C「主治医による職場復帰可能」時のご相談事例

case C

うつ病で休職している社員より「職場復帰可能」という診断書が提出されました。しかし、本人の顔色は悪く、面談時においても元気がなさそうな様子です。
病気を発症する以前を知っている私からしてみると「本当に大丈夫なのか?」と思わず首をひねってしまうような状態なのですが・・。
主治医が「職場復帰可能」と言っているのであれば、良いのでしょうか?
なんだか心配です。

ポイント①

主治医の診断書では「職場復帰可能」、しかし現場の肌感覚からすると「本当に大丈夫?」となり「職場復帰させても良いのか?」と悩むケースは増えてきました。

実際、疑問を感じながらも職場復帰させたところ、元の業務に戻れたというケースは残念ながらほとんどなく、多くが「再燃・再発」となったというケースです。

職場復帰しても1か月後には不調を訴え、そのまま休職に再度戻ったケースや場合によっては、残りの休職期間がなく、出社が本人もできないということで話し合いの結果、退職となってしまったケースもあります。

参考までにリワーク機関でうつ病のリワークを担当している精神科医の医師に話を聞く機会があったのですが、その際に「なるほどなあ」と思ったことがありましたので、ここに掲載しておきたいと思います。

「多くの方の職場復帰が早すぎると感じている。ここでのリワークは、仕事よりも随分軽度なプログラムを作っているが、それでも最初の一週間で休む人が半分以上いる。このような中で職場に復帰できるのは、相当難しいと考える。」と言われたことがありました。
専門医がいて、専門のプログラムさえも継続できない状態であれば、専門家のいない職場に戻すのは、並大抵なことではないと考えなければいけないと改めて思った言葉でした。

また、職場復帰した方が再燃・再発をすることは、本人の自信を無くしてしまうことにもつながりますし、周囲のモチベーションも下げてしまいます。結果、支援をしてもらえる環境も制限されてきますので、企業としては判断を慎重に考えていく必要があると思います。

ポイント②

しかし、主治医の診断書では「職場復帰可能」となっている場合、医学的な判断ができない企業側としてはどうすれば良いのでしょうか? この場合は、産業医がいれば産業医への意見を求めることをお勧めしますが、産業医の選任義務がないなどの場合は、主治医に対してさらに詳しい情報を再度お尋ねすると良いでしょう。

例えば「職場復帰可能となっていますが、顔色が悪いようですし元気がなさそうに感じます。会社としても職場復帰を望んでいますが、職場復帰にあたってどのようなことに注意をすれば良いですか?」であるとか「今回、職場復帰可能となっている社員は、△△の業務を行い、○○などのリスクが考えられますが、その点につきましても大丈夫でしょうか?企業側としてどのようなサポートを行えば良いですか?」などと、企業側が気になっている点について率直に、本人を通して文書で尋ねてみるのも一つの解決方法です。

重要なことですが、主治医も休職者との間に信頼関係を構築して病気の治療を行って下さっています。企業側も誠意を持って主治医と接することと、主治医に対して企業側も情報を提供することが信頼関係構築の鍵となります。

なお、その他にもお勧めしているのは、このような場合の対応策として、事前にいくつかの考えられる就業制限などを記入した診断書の提出を条件とした復職制度について規定を設けること、復職判定委員会などの設置などです。

企業様の声

●弊社の業務内容を考え、その休職者が戻るために尋ねたい内容の診断書をカスタマイズして頂いたお蔭で、職場復帰後の就業制限もスムーズに行えた。また、主治医と会社も信頼関係を結べたので、職場に戻ってからも気になった点は本人を通じて主治医に相談することができた。相互が情報を密にすることにより社員を安心して戻せた環境に感謝している。
●先生方に復職判定委員会のオブザーバーとして参加して頂き、他社事例を教えてもらえたのは助かった。
●今までの弊社の就業規則だと本人の申し出で復職可能となっていたが、就業規則を変えたお蔭で会社の判断となり、職場復帰に関して慎重に行うことができるようになった。お蔭で再燃・再発者が減り、元の職場に戻れる社員が増えてきた。そのせいか今ではメンタルヘルス不調がタブーではなくなり、早期発見・早期治療に繋がって、比較的短期で戻って来れるケースが増えてきた。