労務顧問
各グループ会社の問題解決からグループ全体の施策展開まで、労務管理のあらゆる悩みを全て受け止め、一緒に考え、導いてくれます。
株式会社ヒノキヤグループ 様
株式会社ヒノキヤグループ 人事部長 植村友一氏(写真左端)、同部人材開発課長 平野剛志氏(右端)に、労務顧問サービスの導入経緯や、導入後の主な取り組み、継続理由などについてお話を伺いました。
株式会社ヒノキヤグループについて
1988年設立。家を丸ごと冷暖房する全館空調システム『Z空調』を搭載した注文住宅事業をはじめ、吹き付け系の現場発泡断熱材で全国シェア1位の断熱材事業、分譲住宅などの不動産事業、リフォーム事業、保育・介護事業などの住生活ソリューションをワンストップで提供し、豊かな暮らしの実現に取り組んでいる。従業員数3,058名(連結 2020年12月31日時点)。
対処療法だけではなく、先手を打っていくために
ヒノキヤグループが労務顧問サービスを導入した経緯を教えていただけますか。
私たちが所属する「株式会社ヒノキヤグループ」は、傘下のグループ会社14社をマネジメントする役割を担っています。当社が中村・中辻事務所と契約したのは、今から5年ほど前のことです。グループの規模や事業領域を拡大しながら、東証一部上場を目指していた時期でした(2018年上場)。
ヒノキヤグループはM&Aを成長戦略と位置付けて拡大してきました。グループ各社はそれぞれが独立した会社であり、独自の企業文化を持っています。それを尊重しつつ、グループ全体で同じ方向に向かおうとしていますが、グループの規模が拡大するにつれ、労務管理の舵取りが難しくなってきました。
1つの労働基準法でも、それにどう対応するかはグループ各社ごとに違います。各社にはそれぞれ社長がいて、各社の実情をよく理解した上で問題意識を持っています。たとえば労働時間について「こうしていきましょう」と親会社側から働きかけても、各社の受け止め方や実行度合いに差が生じてしまいます。しかしグループ全体で、このレベルを下回ってはいけないという水準があります。では、各社の労務管理の質に影響を与えるには、どうすればいいのか。
一方でグループ会社からは「職場でこんな問題が起きているがどうすればいいか」といった労務管理に関するさまざまな相談が寄せられます。もう少し正確にいうと、すぐに報告や相談が来る場合もあれば、後から実はこうだったと知らされることもありますし、恐らく親会社側で気づいていない事もあるでしょう。もともとこの業界は、営業は営業、設計は設計、現場監督は現場監督と職種ごとに独立している色合いが濃く、外からは実態が見えにくいという特徴があります。
個別のトラブルシューティングだけではなく、良い解決策が産まれたら他のグループ会社に横展開することや、トラブルが起こる前にできるだけ早く気づけるような体制づくりをしていくことが、私たちの使命だと考えていました。
以上のような、親会社側からのトップダウンの施策展開と、子会社側からのボトムアップの問題解決を同時に進めようとしたときに大変なのは、リストアップされた多数の課題の中から何を先にやるべきかを決めることでした。理屈で考えた優先順位と、子会社の立場や実情を考慮した場合の優先順位が異なることもあり、一歩間違えると後手に回って仕事量が増えてしまいます。法律が変われば、優先順位も変わるかもしれません。
当社には社労士資格を持つスタッフもいますが、自分の会社の中のことしかわかりません。やはり「グループ全体の労務管理」について実践的な知識や経験を持つ専門家の力が必要だと考えました。当社の社外取締役の一人に弁護士がおり、相談したところ中村・中辻事務所を紹介されました。
労務顧問として中村・中辻事務所を選ばれた理由を教えてください。
まず、当社と同等以上の規模のグループ会社の労務管理をアドバイスしてきた経験が豊富だったことです。自社やグループ会社を説得したい時に、ある意味権威付けとしても力になってもらいたいと思っていました。初めてお会いしたときに、私たちが抱えている問題点をお話ししましたが、目先の問題を解決するだけでなく、将来に向けた対策を一緒に真剣に考え、提案してくれるということで、とても安心しました。事後的な対処療法ではなく、積極的な対策に挑戦していく時にもサポートしてくれるのではないかと感じました。
また、窓口を一本化することを条件に、グループ全体を1つの顧問契約にまとめて頂けたこともありがたかったです。コストパフォーマンスの高さも魅力でした。
そして社労士の先生のお人柄。「この先生になら何でも打ち明けることができる」と思いました。詳しくは後述しますが、これが長くお付き合いさせていただいている一番の理由かもしれません。
ミーティングと、プロジェクト
ヒノキヤグループでは、労務顧問サービスをどのように使われているのでしょうか? 実際の活用の仕方について詳しく教えてください。
月に一度、直接お会いして色々な相談や対話をさせていただく「ミーティング」と、ミーティングを重ねる中で生まれたアイデアを一緒に実現していく「プロジェクト」に大別されると理解しています。プロジェクトは基本契約の範囲を超えた多大な時間と労力が必要となり、別途費用をお支払いしています。当社ではこれまで「職場点検アンケート」や「模擬臨検」などのプロジェクトを実施しました。
まず月次のミーティングの様子からお話します。私たちは、日常的にグループ各社からさまざまな相談や問い合わせを受けます。
「残業の多い部署があるのですがどうすればいいでしょう?」
「社員側と会社側で○○について揉めているのですが…」
「来週、労基署が来るのですがどうしましょう」
これらのような、すでに発生している課題についてアドバイスをいただいています。たくさんある場合は優先順位をつけて、メールや電話でのやりとりだけで済ませる課題と、直接お話を伺いたい課題に分けます。
加えて、まだ何も起きていないが不安を感じている事、潜在的な課題について意見や情報を頂いています。例えば新しい制度を導入する時、会社として社員にどのようにメッセージを発信すればいいか。問題が起きた時、他社ではどのような対策をとっているのか。
労務系の専門誌には色々な企業の事例が掲載されていますが、それらのほとんどは優等生の回答例です。本当に私たちが知りたいのは「100点を取るまでの軌跡(途中の70点)の回答例」です。失敗や苦労を重ねながら、どんな手を打って挽回し、新しい施策の運用を軌道に乗せていったのか。それを中村・中辻事務所に尋ねると、「ヒノキヤグループの規模・職種・地域展開を考えると、こんな事例が参考になるかもしれませんね」とマッチする実例を選んで解説してくれます。
時には、より長期的なテーマを取り上げることもあります。「新卒の離職率をもっと下げていくための打ち手」「健康経営の推進について経営層を説得するときのアプローチ」など、問題解決というよりも会社をより良くしていくためには何ができるかという対話です。
以上のように、目先の話から少し先の未来のことまで、ミーティングの話題は多岐にわたります。月に一度、主治医と会って「今日はここを怪我しています。ここが筋肉痛で痛いです。今度長距離走るのですが今のうちに何をしておけばいいでしょうか」と面談をするようなイメージです。これは相談しても大丈夫かな?と迷う事はありません。何でも話しています。
月に一度、2時間という設定がちょうどいいです。2時間あると前述のように大小複数のテーマを扱うことができますし、目の前の小さな問題を片付けつつ、将来に向けたアイデアを話し合うことができます。これが翌月のミーティングにつながり、「ここまでクリアになったから、続きは次回話し合いましょう」「では関連する情報を準備しておきます」といったことができるようになります。
本音が集まる、「社労士主体のアンケート」
続いて「プロジェクト」について具体例を教えていただけますか。
2つ紹介します。1つ目は「模擬臨検」です。
中村・中辻事務所のお二人の先生方に「調査に来た監督官」に扮していただき、実際の調査の流れを体験するシミュレーションです。ミーティングの中で、グループ各社がどのくらい理解できているか自覚できる機会を作ってみようという案が生まれました。
あるグループ会社を代表として取り上げ、他のグループ会社の人事スタッフも参加してもらいました。「まずここをチェックします。自分の会社の資料を確認しながら、私たちのやりとりを聞いてください」という形で進めていきました。加えて、労働基準局で勤務した経験のある先生に講義をしていただく時間も設けました。「どこが不足しているかがはっきり自覚できました」「注意してもらえて良かった」と大変好評でした。現在は、定期的に自分たちで模擬臨検の短縮版を行っています。一度しっかりシミュレーションができたので、自分たちで回すことができるようになりました。
2つ目が「職場点検アンケート」です。
社員一人ひとりの職場の実態や課題・悩みなどを知るために、個人を特定できない形での無記名アンケートを実施しています。Webと紙で行われ、どちらも回答は直接中村・中辻事務所に送られるため、会社側で誰が書いたのかを特定することはできません。質問項目はまず自分たちで作成し、アドバイスを受けて修正しました。
親会社の顧問社労士が主体となってアンケートを実施したことで、信頼感と安心感があったのだと思います。所属している会社には直接言いにくい率直な意見をたくさん集めることができました。この種の調査としては非常に高い回収率でした。
回答を分析してまとめたレポートを中村・中辻事務所に作ってもらい、会社の意向(人事施策の方向性や、今すぐには解決できなくても前向きに考えているというメッセージなど)とともに、全社員にフィードバックしました。
すべての要望に応えることができなくても、「声をちゃんと受け取ったことを示す」ことが重要なのだと思いました。声が届いたと実感した社員の意識は少しずつ変わっていきます。会社への期待を前向きに書いてくれる社員も増えました。アンケートは2年ごとに行っており、次回で3回目となります。会社の全体像が把握できるようになり、その情報はさまざまな施策や対応に活かされています。
安心して、弱いところを見せられる
労務顧問サービスを5年以上継続して利用されている理由は何ですか?
契約料以上のものを得られているからです。
当社にとって中村・中辻事務所は、ただの相談相手ではなく「いつもは外に居て、外からの視点で見てくれる、大事な人事部門の仲間」のような存在です。もし、経営陣からコスト削減などの理由で契約の見直しを求められたらとても困ります。たぶん、違う何かを切り詰めると思います。
何でも打ち明けることができるというのは、本当に貴重なことだと思います。
社労士に相談することは、病院で自分の症状を説明することに似ています。どこが悪いのかと直球で聞かれても、その場で即答しづらいものです。治したいから来たのに、できれば詳しく言いたくない。そんな状況でいきなり「なんで今まで放置していたの?」などと怒られたら、もう話すのは嫌だ、やめようと思ってしまう。
中村・中辻事務所の社労士の先生には、それが無いのです。かなり深刻な話をしても、全く顔を曇らせない。対等な関係のまま、どういうことが起こっているのでしょうと一緒に解明してくれる。安心して弱いところを見せられるようなコミュニケーションの取り方をしてくれる先生です。
即時的な問題解決ではなく、長期的な関係を築ける社労士を探している企業があれば、中村・中辻事務所に相談することをお勧めします。話しづらい問題や悩みを、あえて持ち出してみてはいかがでしょうか。先生と対話するうちに、自分がどこまで本音を言えるのかがわかってくると思います。
お忙しい中、ありがとうございました。
※取材日時:2021年8月(文中の組織・数値に関するものは全て取材時時点です)