労務顧問
自分の目指す未来に自信が持てなくなりそうな時に、根拠と勇気を与えてくれる。会社の成長に欠かせない大切な社労士であり、何でも話せるメンターです。
株式会社ハンナ 様
株式会社ハンナ 代表取締役社長 下村由加里氏(写真右)に、これまで取り組まれてきた「社員が成長できる仕組み作り」について、そしてそれをサポートする当事務所の「労務顧問サービス」の評価について、オンラインインタビューで詳しくお話を伺いました。
※写真左 弊社代表社員 中辻
株式会社ハンナについて
昭和55年設立。奈良県を中心に近畿圏での食品・生活必需品・住宅設備・ホテル/病院用リネンなどの輸配送を主な事業とする。奈良県で初めて健康経営優良法人に認定されるなど働く環境づくりに注力しており、成長企業として県内外から注目されている。車輌数117台、従業員数152名(2021年2月時点)。
「自ら気づき、考え、動く」プロ集団を育む
株式会社ハンナが、これまで取り組まれてきた「社員が成長できる仕組み作り」について教えていただけますか。
古くから運輸業界は「使えない人は替えればいい」という考え方が根強く、人を育てる意識の薄い業界でした。さらに1990年以降は、規制緩和により運送会社数が30倍に増加し価格破壊が進んだことにより、利益が生み出せない、ますます人を大事にしていられない、サービスの質も落ちていく、という悪循環に陥っていました。
そのような環境下で社長に就任した私は、社会や経済の状況が次々と変化する中でも会社を持続・発展させていくために、まず基礎をしっかり作り直そうと心に決めました。基礎とは、会社のあるべき姿を体現し続けることができるような組織体制や、雇用や評価のルール、人財育成のやり方のことです。
基礎作りに際しては、「不易流行」という言葉を大切にしていました。「不易」とは変化しない本質の部分で、当社の初代社長が掲げた「三方善し」という創業理念や、それを発展させた三つの経営理念が該当します。
株式会社ハンナ 経営理念
- 私たちは、企業の発展を軸とし、お互いの物心両面の幸せを追求します。
- 私たちは、日々進化する企業づくりと品質向上に努め、社会的責任を果たします。
- 私たちは、環境に配慮して、社会に貢献する輸送サービス業を目指します。
理念が不変である一方で、それを具体的にどう実現していくのかは、時代や環境に合わせて柔軟に変えていかないといけません。それが不易流行の「流行」の部分で、当社ではまず5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)や3M(無事故・無違反・無災害)を教育や採用、評価の基準に取り入れて徹底に努めました。それから専門的な資格取得から古典の学習まで幅広く社員教育を行ってきましたが、何を学ぶのであっても不易流行、「ここは変わらないよね」「これからの時代はこうなっていくよね」と常に確認しながら教育していくことが大切で、丁寧なすり合わせによって社員みんなの価値観が揃い、標準化されていくのだと実感しました。
不易流行のアプローチでベースを揃えた上で、さらに個人の長所を伸ばしていくことに取り組みました。当社では「グッドポイント」と呼んでいますが、面談を通じて各々の長所を確認し、長所を活かせるような業務や配置、企画などに取り組ませるようにしました。きちんと目標設定をして達成することで成功体験を積ませるように働きかけました。
事務方の女性社員の提案で、健康経営(従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法のこと)に取り組み始めました。その結果、2017年に奈良県の会社で初めて「健康経営優良法人」の認定を受けました。これは社員全員の大きな成功体験となりました。配送先でお客様に「ウチ、健康経営で表彰されたんですよ!」と嬉しそうに話すドライバーもいました。自信がエネルギーとなり、社員から「次はこんなことをやりましょう」など、意見や提案が出てくるようになりました。
その後、健康経営優良法人に5年連続で認定され、2021年には「ブライト500(中小企業部門で優良な上位500法人)」にも選出されました。東京商工会議所の健康経営アドバイザーテキストに成功事例として掲載して頂いたこともありました。
そして健康経営だけでなく、女性活躍推進や衛生環境改善などのさまざまなプロジェクトが社員主導で立ち上がりました。プロジェクトだけではなく、日々の業務の中でも「何かおかしいぞ」と気づき、気づいたら考えて周囲に働きかけていく、主体的に動く社員が増えていきました。
まだ道半ばではありますが、社員定着率は48%(2017年)から87%(2020年)、求人応募数は63名(2017年)から184名(2020年)と少しずつ向上しています。今年、東京商工リサーチの奈良県の業種別売上高ランキング(運輸業)で初めて上位30社にランクイン(20位)し、売上高伸長率ランキングでは4位になりました。地域社会に評価され、お客様の価値向上に貢献できる「プロ集団」であり続けたいと思っています。
一緒に「未来予想図」を描いてくれる
中村・中辻事務所は、株式会社ハンナをどのようにサポートしているのでしょうか。
労務顧問として契約し、現在は月に1回のオンラインミーティングを主軸に電話やメールなどでさまざまなアドバイスを受けています。オンラインミーティングは1時間で、約10名の労務関係のメンバーが本社や営業所などそれぞれの拠点から参加します。ミーティングの内容は、中村・中辻事務所の社労士の先生からの講義と、こちらからの相談の2種類で構成され、比率は各回で異なります。
講義では、労務関係の法改正や動向についてのたくさんのニュースや情報の中から、今の時点で当社が知っておくべき情報を先生が見繕い、わかりやすく解説してくれます。
こちらから相談をする内容は、社内規定の細かい部分のチェックや、労基署の方が調査に来た時の対応の仕方、これから取り掛かろうとしている新たな施策の進め方など多岐にわたります。相談したいことは事前にメンバーから募り、内容や進め方を明確にした上でミーティングを実施します。
オンラインだと各拠点のみんなが参加できるのがいいですね。誰か一人の質問について先生が回答したことを、他のみんなも勉強できる。毎月のミーティングが労務についての報告・連絡・相談のリズムを生み出しています。社員も少しずつ成長していて、先日の労基署の監査の時にも、担当の社員がほぼ自力で説明できるようになりました。
なぜ、奈良県内の社労士ではなく中村・中辻事務所を労務顧問に選んだのでしょうか?
上述のミーティングのようにオンラインでも十分にコミュニケーションを取ることができますから、奈良県内にいらっしゃるかどうかは気にしませんでした。中村・中辻事務所も、東京だからではなく、この事務所のサポートを受けたいと思ったからです。
過去に私が会ったことのある社労士は、会社のマイナス面ばかりに注目して「これはダメ」「ここに不備がある」と指摘するタイプの方が多かったと思います。決して悪い事では無いのですが、私にも社長としてこれまで頑張ってきた自負があるものですから、つい「だから相談しているんじゃないの!」と意地を張ってしまい、素直に受け入れられなくなってしまうこともあります。
中村・中辻事務所の社労士の先生に初めてお会いした時に感じたのは「この先生は、まずプラスの面に光を当ててくれる先生だ」ということです。良い部分は良いと言ってくれる。ダメな部分も「こういう理由で、こんなに良い事をしようと思っているのに、ここを直さないのはもったいないですよね」という前向きに納得できる説明の仕方をしてくれます。
それに加えて、一緒に未来の話をできる。私の方から色々な相談や想いをぶつけると、
「社長が今取り組んでいることは、将来的にはこうなっていくと思いますよ」
「向こう半年はここに気をつけたほうがいいですよ」
「自分たちが気づいていないだけで、社員が当たり前のようにこれを実行できているというのは、とても素晴らしいことなんですよ」
こんな言葉が返ってきます。一緒に未来予想図を描くようなコミュニケーションが、とても嬉しくて。
経営者として一番怖いのは、自分の描こうとしている未来に自信が持てなくなることです。そんな時に、先生は寄り添って、一緒に吟味・検証をしてくれます。根拠のある自信と、未来志向の勇気を与えてもらっています。
得難い「メンター」のような存在
私は県内のロータリークラブにも所属していますが、歴史を重ねていくうちにどうしても形式的な部分が多くなり、何でも話したり不安を共有できたりする相手はなかなか見つけにくくなっています。だからこそ、中村・中辻事務所の先生の存在はとても貴重で、私にとってのメンターのような存在です。
今の時代の社労士は、中小企業のオーナー経営者のメンターであってもらいたいと思っています。税理士とのお話は、税金、お金といった会社のハード面がどうしても中心になります。ソフト面、たとえば人や組織、そして先述の「不易流行」でいうと不易に該当する理念的な部分について相談できる専門家は欠かせないと考えます。
中村・中辻事務所の社労士には、安心して色々な相談ができますか?
はい。何を話しても大丈夫だという信頼関係ができています。どうしてだろうと改めて考えてみると、いくつか理由が挙げられます。
まず、契約を検討している段階で、信頼できそうな方だなと感じました。当時私が抱えていた課題や、これからやりたいことを話した時、先生はじっと最後まで話を聞いてくれて、その上でどのようにサポートができるのかを説明してくれました。同じ目線で対話していただけそうだなと思いました。
そして、最初に契約する時に「これだけの費用がかかります、こういう場合はサービスです」とはっきり説明してくれたことも良かったです。ビジネスとして関わって頂けるのでこちらも安心できるのです。これがもし無料で、人と人との関わりとなってしまうと「ここまで言っていいのかな」と親しくなるほど遠慮してしまうものです。正しい価格設定というのは必要だなと実感しています。
加えて、事務所のスタッフの皆さんの対応も理由に含まれます。メールのやり取りであったり、オンラインミーティングを始める際の資料の作り方であったり。丁寧で心地いいなといつも思っています。何度か東京のオフィスに伺ったことがあるのですが、スタッフの配慮が行き届いていて、とてもいい雰囲気でした。そういった色々な要素が組み合わさって、信頼や安心につながっているのだと考えます。
私ではなく、当社の社員はどうだったか?もちろん最初は警戒していたと思いますよ。ですが、2回3回とミーティングを繰り返していくうちに、自分の知りたい事をわかりやすく教えてくれる専門家だと受け入れてくれました。特に、前向きに仕事に取り組もうと思っている意識の高い社員は勉強できることを喜んでいます。今では先生に直接メールを送って相談している社員もいます。
社労士との顧問契約を検討している中小企業の経営者に、実際に経験された上でアドバイスできることがあれば教えてください。
何か問題が起きてからではなく、できるだけ早く相談相手になってくれる社労士を見つけることを強くおすすめします。労務関係のトラブルは、会社にとってリスク以外の何者でもなくて、お金・時間・信用、失うものしかありません。発生させないことが一番大事です。当社がもっと早く中村・中辻事務所を知っていたら、こんなに遠回りはしなかったと思います。
一方的に話をするような社労士ではなく、きちんと対話できる社労士を選ぶのがいいと思います。あとは社長個人との相性だけではなく、会社との相性。「社長が目指す会社の方向性や企業風土」と、「その社労士が考える労務管理の理想像」が大きく乖離していると、後で苦労するかもしれません。
その意味で社労士を選ぶ時には、目先の課題だけではなくて会社をこうしていきたいという自分の考えや想いをまず伝えてみて、そこからコミュニケーションが重ねられるかを確かめてみるのがいいのかなと思います。
お忙しい中、ありがとうございました。
取材日時:2021年9月(文中の組織・数値に関するものは全て取材時時点です)