労務顧問

規定や規則という文字の羅列を、各人に寄り添いながらはめていく。まさに一人ひとりの人間を見つめ、公平な運用を追求してくれます。

JFE商事サービス株式会社 様

労務顧問サービスの導入経緯、当事務所を選んだ理由、活用方法や評価などについて詳しく伺いました。
JFE商事サービス株式会社 取締役社長 奥定乃雪氏(左)総務部 リーダー 中西弘子氏(右)

JFE商事サービス株式会社について

鉄鋼製品の取り扱いを中心に鉄鋼原料・資機材・非鉄金属・化学品・船舶から食品・エレクトロニクスまで幅広く事業を展開するJFE商事グループに所属。経理、財務および営業事務、資産管理、通信業務、郵便物の集配等の事務請負をおこなっている。1994年設立。従業員数52名(2022年1月時点)。

https://www.jfe-shoji.co.jp/

ルールを守らせるだけでいいのか

はじめに、労務顧問サービスの導入経緯を教えてください。

当社は、JFE商事(株)の障がい者雇用推進会社で、グループ内の社内メール網の運営や経費等のインプット業務、書類仕分け、防災関連等幅広い業務を担当しております。

社員が充実感を持ち働ける環境作りが、私たち経営の使命と思っています。充実感の大事な要素の一つが成長です。仕事に取り組む前から苦手意識を持ったり、やってみて不得手と感じたりしても、本人の可能性を拡げるために挑戦してもらっています。どこが上手く行かないのか実際に体験し、やり方を見直し成功体験に繋げ自信をつけてほしく、仕事を細かくパーツ化して本人ができる事を探してもらいます。そのため厳しいことを言う時もありますが、その点は障がいの有無に関わらず一緒だと思っています。

社員みんなで仕事をするために、常に公平性が保てているかを問いかけています。それをチェックしてくれているのが中村・中辻社労士事務所です。

当社が難しいと感じているのは、ルールをどのように運用していくかです。現在の労働法は健常者を前提に作られている部分がとても多く、実際の労務管理の現場では個別の現実にそのつど対応していくことが求められています。

例を挙げると、通勤上で突然不安を感じ途中で出社できなくなり、出社予定時刻になっても連絡も来なかったとします。ルールを守るということでは、遅刻は違反です、明日から守ってくださいで終わりになります。

でも会社として、なぜ出社できなかったのかを一緒に考えなくてよいのか。通勤経路上や家庭での過ごし方で何か問題があったのか。前の日に夜更かしをした、フラッシュバックした等、また起こらないようにどうしていこうかを考え提案することが必要なときもあります。社員の健康管理については法律上で定義はされています。でも会社と本人の責任の線引きはあいまいです。本人から病気や障がいの情報を提示してもらえると一緒に考えられるのですが、それは個人情報の壁で聞いて良いのか、どこまで触れて良いのか。本人の雇用の継続や成長という視点で、会社は何をどこまですべきかを悩みます。

セミナーや研修会に足を運んで勉強すればするほど、ルール運用の難しさを感じるようになりました。安全配慮の徹底と言われても、どこまでやればきちんと配慮したことになるのかが決まっていません。これでは不十分と指摘されている判例がある一方で、これだけでOKなの?と思えるような判例もあって。ルールの文字面や個別の判例をなぞるだけではなく、本質を理解した上で判断をし、それを積み重ねて良い職場環境を作っていくには専門家の力が不可欠だと思いました。

労務顧問として中村・中辻事務所を選んだ理由を教えてください。

社労士が講師となるセミナーに参加し、講義を聴き資料を読み、ときには質問したりする内にどういうタイプの方なのかが分かるようになってきました。ルールだけを型通りに説明している人もいる中で、中村・中辻事務所の社労士の先生は、運用についてしっかり助言をしていることが印象的でした。

加えて、特定社労士であることや、障がい者の就労支援をしているNPO法人の顧問もされ、幅広い業界の顧問社労士として活躍されている。たくさんの引き出しを持っている点に魅了されました。

当社は既に、社会保険の手続き等で契約をしている社労士がおりましたが、事務処理ではなく日々発生する生きた事案を相談する社労士として、中村・中辻事務所に顧問契約を別途お願いしたいところ、快く引き受けてくれました。

「雇用する側/される側」、「本人/周囲」のバランス

労務顧問サービスをどのように利用しているのか教えてください。

定例ミーティングを2か月に1回のペースで行い、アドバイスを受けています。ミーティングは2時間で、法改正や運用ルールの見直しなど規程改定に必要な内容もあれば、目の前の生きた事案を扱って頂くときもあります。緊急を要するときはメールで相談したり、別途お時間を頂くときもあります。忙しい中、メールの返信も早く、それに近い事例の提示も頂けますし、電話や個別相談時間も取って頂けるので頼りになります。

何かしらの問題が起きたとき、見て見ぬふりではなく何等かのアクションを起こす必要があります。法律的にどうかだけではなく、働く仲間として何をするかという視点からも具体的なアドバイスを頂いています。

中村・中辻事務所の労務顧問サービスを実際に利用した上での評価をいただけますか。

中村・中辻事務所の社労士の先生は、複数の観点からバランスよくアドバイスをしてくれます。たとえば雇用する側とされる側のバランスです。

私たちは様々なルールを作り運用する雇用主の立場ではありますが、一方では、出向者として出向元に雇用されている立場でもあります。雇用主として「ルールは守ってね」と言いつつ、労働者という逆の立場で考えた時に「このルールはこれでいいのかな?わかりやすいのかな?」と葛藤が生じます。そのとき先生は両者の視点を解説してくれて、「今回はこうしてみては?」とバランスの良い解を提案してくれます。

バランスという意味では「本人と周りの人」についても同じです。

何かトラブルが発生した場合は、当事者本人に対応することに加えて、一緒に働く周りの社員への対応も大切です。ある人が怒りを露わにしたとき、周りの人は不安になります。怒った本人の言い分、周りの人の感情の両方を同時進行で確認していかないといけません。先生はまず「どういう人なのか」を尋ね、職場環境のケアやメンテナンスのアドバイスをしてくれます。

そして、中村・中辻事務所にお願いして良かったと思う一番の理由は、先生が「一人ひとりの立ち位置を想定し、その必然性を受け留め最善策を探してくれる」ことです。

「その社員は、どういう方ですか?」

「一人ひとりを理解しようとしてくれる」について詳しく教えてください。

ある社員について相談をする時、先生は、規定うんぬんの話をする前に必ず「その社員は、どういう方ですか?」ということを聞いてくれます。これまでどういう経緯でどんな経験を積んできて、今どんな仕事を担当しているか。本人はどう考え、何と言っているか。会社としてはどんなふうに働き、成長してもらいたいのか。人物像を捉えた上で、それではこういう方法がいいのではというアドバイスをしてくれます。

たとえば、仕事が終わらず残業になる社員がいたとします。その際に「長時間になるならルール通り産業医面談をしてくださいね」で終わらないのが、中村・中辻事務所の社労士です。「なぜ、そんなに残業してしまったのでしょう?」ということを聞いてきます。

家庭で何かあって集中力が落ちているのか、本人の拘りで何度も見直ししてしまう仕事の手順なのか、周囲の音や席替えの影響、それとも倦怠感など病気の兆候なのか。本人のプライベートな問題、職場環境の問題、業務量をカバーできていない組織体制や構造の問題なのか。起きている事の根本まで検討した上で「先々の事も考えて、今後はこういう風に見守っていきましょう」という事まで言ってくれます。

日々の対応の中で、規定や判例が新しくなり、抵触のリスクに不安を感じる時も、先生は「そこは大丈夫ですが、この手順を踏まないと抵触するかもしれません」と指摘してくれます。ルール上の運用がグレーゾーンであっても、私たちが方向性を決めて相談すると一緒に考えてくれます。もちろんダメなものはダメと言ってくれます。重要なのはよくある質問で終わるのではなく、一人ひとりに当てはめて「どうしよう・ああしよう」の会話のキャッチボールを通じて心から納得できるという事です。私たちが納得できるからこそ、わかりやすく説明でき、伝えたいことが社員の心に届きます。

労務顧問サービスをご利用し始めてから約2年半が経過しました。今後の継続意図について教えてください。

労働法が改正されるスピードに圧倒されています。隔月のミーティングのたびに事前に「今度この法律が変わります」と先生に教えられ、自社の規程や運用をどう合わせるかを考えています。できるだけ講習会には参加していますが独力だけではなかなかキャッチアップできません。どう運用しようで悩むばかりで、引き続きご支援頂きたいと思っています。

グループ内の会社からメンタル問題について「どうしてる?」と聞かれた時に、中村・中辻事務所の先生を紹介しています。長時間労働や賃金不払のような労基法で明文化されているルールに関しての問題というより、メンタルヘルスなど個人事情をフォーカスした個別の判断が入ってくる問題が急増することが予想されます。そのような対応は弁護士や医療ということになるのでしょうが、そのリスク回避・予防策として社労士のアドバイスを受けるのが大切だと実感しています。

最後に、中村・中辻事務所にメッセージをお願いします。

ただ知見が深いだけではなく、人情溢れるサポートにいつも助けられています。先生の生き方そのものが「人に寄り添うって、こういうことか」と教えてくれます。

中村・中辻事務所の社労士の先生は、いつも“公平”でいてくれます。

障がいの程度によって、できる仕事の量も質も異なります。でも一緒に仕事をしている。その中で、一つ一つの問題や一人ひとりの人間を見つめ、限りなく公平な運用を追求してくれることを確信しています。これからもよろしくお願いいたします。

取材日時:2022年1月(文中の組織・数値に関するものは全て取材時時点です)