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なぜメンタルヘルスが注目される?労働環境の変化とこれからのあり方

昨今、多くの企業において、このようなことが問われています。
「うちの会社にも『うつ病』になった社員が発生したが、一体どう対応すればいいのか?」
「休職と復職を繰り返している社員がいるが、受け入れ先がなくて困っている。」
などなど・・。

このHPにおいで頂いた方は言うまでもなく、企業におけるメンタルヘルス対策が、重要な位置を占めていることは既にご承知のことでしょう。
実際に企業現場で感じることですが、どのような業種、規模においてもメンタルヘルス対策は、必要なことだと思います。
なぜなら心の病は、誰もがなりうる病気だからです。

心の病、特に多いと言われている「うつ病」はストレスと密接な関係があるといわれています。そのストレスですが、悲しい事、辛い事のようなネガティブな出来事だけでなく、昇格・昇進や結婚、出産などのようなポジティブな出来事も、実はストレスなのです。
また、日々の出来事で、それが例え慣れてしまっていても「満員電車」「納期の締め切り」「出張」「職場の人間関係」「深夜残業・休日出勤」などもストレスとなっています。

仕事だけではなく「夫婦関係」「子供の反抗期」「親の介護」「家族の病気」「近所とのトラブル」さらには「失恋」や「ペットとの別れ」などもストレスです。このように、日常どこでも誰でも起こりうる状態がストレスとなっています。

一方、これらのストレスによって、私たちは心身の成長を遂げ、それが仕事のスキルアップや人格の成長などに繋がっていくので、ストレスそのものが悪いことではありません。

しかし、ストレスがかかり過ぎると、心身に不調が出はじめ、その状態を継続した結果として心の病を引き起こしてしまうという流れになってしまうのです。

そのように考えますと「私たち誰もが心の病になる可能性がある」というのは、改めて、頷ける気がしませんか?このようなことから、昨今になり冒頭にあるような声が多く聞かれるようになってきました。
しかし以前から同じような状況であったにも関わらず、急に心の病が増えてきたのは何故なのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

労働環境、変化の経緯

それには「核家族化」「教育現場の変化」など様々な要因があると言われていますが、労働環境が大きく変わったことも、その要因の一つだと考えられています。

1990年代にバブルの崩壊を受け、企業が生き残りをかけて、人材マネジメントの大幅な変革が行いました。長期安定雇用からの脱却、成果主義の導入、早期の人材選択、非正規雇用の増大等々、極めて経営視点が強いものに変わっていきます。
それに伴い「何かあっても最後は会社が守ってくれる」という会社への絶対的な信頼や「同じ会社に定年まで勤め上げる」というそれまでの倫理観が薄れ始めてきました。

もちろん、女性の雇用を進めるなど、それまでの時代とは異なり、善処されたものもあります。
しかし、あまりにも経営視点が強すぎる人材マネジメントが浸透した結果、現在では、働く人が夢を持てない、働く上での納得感や公平性の欠如、企業内格差の増大、組織力の低下など惨憺たる結果を招いています。

労働の二極化も進み、正社員になれなかった非正規雇用の者は、仕事には就くものの低賃金を余儀なくされる状態におかれ、自身の仕事の未来像はもとより、将来の結婚や子育てなどにも希望を持ちづらい状態です。

一方、正社員になれた者であっても、過重労働やパワハラ・セクハラなどの人間関係の悩み、また昨今の経営事情から「いつか自分も会社に必要とされなくなるのでは?」「いつか会社がなくなってしまうのでは?」という悩みや、それに伴う自らのキャリア形成への焦りなどを抱えています。このように、先の見えない不安を多くの者が抱える状況を創り出してしまいました。

つまり、先ほどお伝えしたように、現在の労働環境そのものが「ストレス」となっており、その状況下の中で、個々人のストレスを抱えて生きているために、心の病を発症する者が増えている一因となっているのです。

会社の成長 ≒ 社員の成長 ≒ メンタルヘルスケア

これらのことから、今後は人材マネジメントを考える際に、働く者への視点も考える必要があると思っています。「企業は人なり」というのが私の信念ですが、トップの考え方がその企業を創りだすと同時に、そこで働く従業員一人ひとりの考えや行動がその企業を織り成していると思っています。

「うちの会社は社会に貢献できている!」「この会社で働けることが嬉しい」「仲間がいるからこそ頑張れる」社員がそのような思いで日々働くことができたら、その企業の生産性の向上や社会的ニーズは自ずと高まると思いませんか?

また従業員側もその企業で働くことを通じて、人材としての成長や周囲からの尊重を得、自らの価値の再認識に繋がっていくでしょう。それらは心の安定となり、将来への希望への鍵となるはずです。

今はまだ心の病を発症したメンタルヘルス不調者への対応が最重要となっているメンタルヘルス対策ですが、いずれは企業の人材マネジメントのあり方や、従業員の働く意識を変えることによって得られるプラスの想いによって、明るく元気な職場環境を創っていき、その結果として心の病の発症が減少する仕組み作りのご支援をしたいと思っています。

まだ道半ばですが、必ずその想いが実現する日がやってくると信じ、日々、愚直に企業現場でのご相談に向き合っています。

平成25年2月13日
所長 中村雅和